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-CASE10-

会社の倒産危機問題相談事例


相談者O様
私は9年前から、川崎市で小さいながらもリフォーム会社を営んでおります。
ここ数年前から、私の会社の主な仕入先と取引先から次々と取引を打ち切られ、昨年末から一段と経営状態も悪化してきて、毎月の資金繰りが厳しく、先月末の支払いで運転資金がショートして、危うく不渡り手形を出す寸前までいきました。
私も売上が上がっているはずなのに、何故か厳しい状況になっているので、とても不審に思い顧問税理士と調べてみると、私が知らない多額の使途不明金が分かってきました。
私自身は会社を独立する前は、現場の職人上がりで、まるっきり会社経営や経理には疎く、高校時代から付き合っていた妻と、高校の後輩で信金を退職して入社してくれた経理部長を信頼して、会社の事を任せっきりにしていました。
私としては、設立から気の合う人間達ばかりが集まって始めた会社なので、仕事に集中が出来たので、会社経営は直ぐに軌道に載せることが出来ました。
しかしながら、ウチの従業員に数年前から「奥さんと部長が怪しくないか?」と言われましたので、最近になって、私は調査会社の方に頼んで調べて貰いました。
そうすると、私の妻と後輩(経理部長)の不倫証拠は出てくるは、あろう事か二人の関係は高校を卒業してから続いていることや、不倫現場の証拠写真が自宅と会社内にまで及んでいる事が分かり、私は気が狂いそうになりました・・・それはつまり、私達が付き合って、そして結婚をして子供が恵まれ、現在も後輩である経理部長とずっと三角関係だったからです。
私と妻の結婚式に、後輩(経理部長)も参加していましたし、娘の3歳の七五三のお祝いにも駆けつけてくれた時に、その裏では私の妻と不倫をしていたのです。
私としては何もかも信じられずになっていたところ、幼稚園で4月に行われた健康診断で、娘の血液型がO型の私とB型の妻との間で生まれないAB型だったのが分かりました。
私は完全に疑心暗鬼になって、後輩(経理部長)の定期検診の記録を調べてみると、何と娘が生まれる事が出来るA型の血液だったのです。
もう、私は何もかもが嫌になり、不在で妻の居ない自宅のマンションで自殺する事も考えました。
そんな苦しんでいる状況でも、私と4人の現場従業員は一生懸命に仕事に取り組んできたのですが、先月からリフォーム工事で使う資材を発注する事も出来なくなり、私も今なら一緒に会社を立ち上げて苦楽を共にしてきてくれた従業員達に、給料や僅かばかりの退職金を支払って迷惑をかけずに、会社がたためられると思っていたところに、こちらの相談会のことをタウンニュースで拝見して、本日は伺うことにしました。
私としても、妻と後輩(経理部長)の不倫関係は見過ごせませんし、会社が厳しいのを分かっていながら、運転資金を使い込んで高級車を乗り回し、新築のマンションに住んでいる。
こんなことは絶対に許せません。
私は妻と離婚して、もし、本当に私の子供でないのなら、そのこともきちんとしなければならないですし、後輩(経理部長)と妻が会社から横領した資金と、その被害を損害賠償させようと思っています。
こんな話で、先生も呆れると思いますが、どうにか手立てはありますでしょうか?

講師(弁護士)
それは、O様も本当に大変な思いをされましたね。
まずは、O様がよっぽどの非がない限り、奥様とは証拠も有るみたいなので離婚は可能なのかと思いますが、問題は経理部長が会社の運転資金を使い込んでいる証拠みたいなものは揃っているのでしょうか?

相談者O様
それについては幾つか証拠があります。
まず、後輩(経理部長)が乗り回している高級車なのですが、私と会社が利用している自動車ディーラーで買ったのですが、その際に社用車を買い換える為に銀行から運転資金を借入れまして、その借りた資金で社用車と一緒に自分名義で購入したのです。
その時の振込記録と、車検証の写し、領収書、発注書、エコポイントの申込書まで持っております。
また、新築マンションを購入する際に、下請け業者に架空請求を起こさせて支払ったことにして、自分の口座に振り込んで頭金にした時の証拠もあります。
それ以外にも幾つかの証拠があり、顧問税理士さんも「おかしいとは思っていたけど、てっきり、社長(私)が全てご存知な事だと思っていた」と、そう言っておりました。
それはそうですよね・・・たとえ名前だけとは言え、監査役である妻と経理部長が会社の中で堂々と社長の指示だからと、顧問税理士言い切れば信じますよね。
私も後輩(経理部長)が数年前から派手になっていくのを見ていましたが、彼の父親が亡くなり、そのお父さんの遺産を受け取ったのを知っていましたので、彼の浪費には違和感を持ちませんでした・・・それは妻に関してもです。
私の妻も、元々はお嬢様育ちで地元では有名な地主の娘だったので、結婚前から買い物好きでお金使いは荒かったのですが、まさか、後輩(経理部長)と結託して会社の運転資金を使い込んでいたとは露ほどにも考えておりませんでした。
また、私が独立前からお仕事を貰って面倒を見てくれた元請会社の社長から、「O社長、君の会社はどうなっているんだ?」、奥さんが経理部長を連れて来て「私は主人と別れて会社を立ち上げますから、今後は今まで以上に宜しくお願いします」と、そう言い回って帰って行ったよ・・・と、元請会社の社長に言われました。
私は頭が真っ白になり、心底、腹を立てました。
その事で従業員と一緒に、全部の仕入先と取引先を確認したところ、私の会社との取引を打ち切ってきた相手先は、その全てが妻と経理部長が交渉した取引先でした。
それぞれの取引先に打ち切った理由を尋ねると、ほとんどが「私の会社で揉め事があるなら、仕事に支障をきたす」と判断して、私の会社と取引停止にしたそうです。
私は、今まで苦労してきてくれた従業員達の事を思うと、このすべてが本当に許せません。

講師(弁護士)
それならば、まずは奥様との離婚手続きを進めて、同時並行で経理部長の懲戒解雇をし、裁判等の訴訟を視野において着服資金の返還請求と損害賠償、お二人に慰謝料請求を起こされたら如何でしょうか?
また、O様と娘様に厳しい話ですが、親子関係の確認も必要でしょうから「DNA鑑定」を行われたら如何でしょうか?

相談者O様
そうですね・・・私としても、ずっと現場で一緒に夏の暑さや冬の寒さ、雨風を共に乗り越えて頑張ってきてくれた従業員達の為にも、この件は先生にお願いして取り戻すものは取り戻して、従業達に支払って再出発をさせてやりたいです。
弁護士先生、どうか宜しくお願い致します。

※ それから、相談者のO様は講師の弁護士に諸手続きの一切を依頼して、離婚手続きとそれに伴う慰謝料請求、経理部長に対する横領資金の返還及び損害賠償請求の手続きに入りました。


相談後記
その後は、担当をされた弁護士先生から経理部長に対し、訴訟を視野に入れた請求交渉を行ったところ、あっさり不倫と資金流用の事実を認めて、マンション購入資金と高級車の購入金、それまでに着服した資金の全額を返済してきました。
また、奥様との離婚については、奥様に離婚の意思が有ったことから、奥様のご両親が、O様宅に来訪して、O様と同席した弁護士先生に謝罪をして、娘である奥様の将来と如何わし行為を慮って、請求した慰謝料と着服した会社資金の全てを支払いました。
尚、O様とお子様とのDNA鑑定の結果、親子関係不存在確認が確定する事が出来まして、奥様方に引き取られていきました。
O様は当初、御自身で会社を清算して、今回の身辺トラブルを片付けようとお考えでしたが、その後は全てを従業員達に打ち明けられて、そのお話をお聞きになられた従業員の皆様が奮闘されて、今まで取引停止だった仕入先と取引先との関係も修復されて、会社に返還された会社資金で経営の立て直しも順調に進み、それまで借りていた会社事務所から心機一転する意味も込めて、小さいながらも新しい会社事務所をご購入されて、現在は従業員も増やして元気にお仕事に専念されているとの事です。
また、先日、担当した弁護士先生の元に、O様の従業員の方々から御礼状が届き、その文中には「ウチの社長は家族を失ったけど、私達が働ける間は家族替わりだから・・・」と、当法人の関係者にも心温まるお便りを頂戴いたしました。

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